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働き方の多様化で注目の「ワークシェアリング」導入事例とポイントを解説

働き方の多様化で注目の「ワークシェアリング」導入事例とポイントを解説

ワークシェアリングは、現代の働き方の多様化と働き方改革において注目されています。 1人の業務にかかる時間と労力を減らして、多くの労働者の雇用を増やすことが目的です。 また効率性と生産性もあって、過酷な労働による心身の健康被害も減らすことができます。 今回は、ワークシェアリングの実際の導入事例と注目すべきポイントを解説します。

ワークシェアリングは、現代の働き方の多様化と働き方改革において注目されています。
1人の業務にかかる時間と労力を減らして、多くの労働者の雇用を増やすことが目的です。
また効率性と生産性もあって、過酷な労働による心身の健康被害も減らすことができます。
今回は、ワークシェアリングの実際の導入事例と注目すべきポイントを解説します。

企業のワークシェアリングの導入事例

ワークシェアリングは日本では2020年に導入されましたが、さほど浸透していません。
海外では1980年に導入されてから現在に至るまで、多くの企業が活用しています。

失業率の高さや過酷な労働環境があり世界的に注目されていますが、給与の額の大小やワークシェアリングでの業務内容と役割が曖昧な点などで、なかなか活用しにくいようです。ここでは、日本と海外の企業のワークシェアリングの導入事例を紹介します。

トヨタ自動車

トヨタ自動車は2009年にアメリカで自動車販売数の減少をうけた際に、アメリカ現地にある6か所の向上に対して時短勤務を導入した事例があります。

通常は2週間で80時間だった労働時間が、ワークシェアリングの導入により2週間で72時間に短縮し、さらに従業員のボーナスカットと幹部社員の給与削減で雇用を維持しました。

日本国内の12社の工場が操業停止する2009年2~3月の11日間のうち、2日間を休業日に変更し、いままで全額支給されていた給与を無しにすることで賃金を2割程度カットしました。

マツダ自動車

マツダ自動車は夜間や休日出勤などで発生する賃金を大幅に減らして、全体の賃金のコストを下げ、いままで昼夜交代制だった業務の夜間操業を全てストップしました。

朝から夕方までの操業に変更することで生産体制を見直し、従業員の労働時間と基本給を2割下げることで賃金のコストカットをおこなったそうです。

TOWA

TOWAは2000年頃から半導体業界の不況で売上が減少し、週5日のフルタイム勤務が厳しい状況になったため、全従業員が週4日の勤務へ変更することで雇用維持を図りました。

TOWAの企業でのこの行動によって、従業員の給与は一時的に減ったもののリストラされることは間逃れて、失業者を減らすことができたそうです。

ドイツ

ドイツでは1980年頃に起きた自動車メーカーや金属産業の業績悪化をうけ、失業者の発生や労働時間の短縮のためにワークシェアリングを導入しました。

ドイツはパートタイムの非正社員などに対しての差別や、賃金の格差をなくすための差別禁止を定めた法律が制定されましたが、まだ企業ごとでおこなうなど改善が必要なのだそう。

フランス

フランスは週の労働時間が35時間という法律が定められていて、有給休暇が5週間、休日出勤や夜間勤務などの労働時間に対しても非常に厳しく管理されています。

勤務時間の時短のおもな方法は企業に委ねられているのも特長の1つです。勤務する日数に対して、週6日以上の出勤はしてはならないことも定められています。

労働時間の時短勤務を、ワークシェアリングで一早く導入した企業に対してインセンティブがあり、社会保障の負担などを一時的に軽減するといった措置が取られています。

オランダ

オランダは1980年頃に大不況に見舞われたことで、一気にワークシェアリングが導入された国の1つで、ほかの国と比べてもワークシェアリングが国全体で浸透しています。

正社員と非正社員同士での労働時間や、賃金の格差をつけたはならないことが法律で定められていて、働き方の多様化も多く知られています。

1980年頃に大不況に見舞われたものの、ワークシェアリング導入で時短勤務がおこなわれて11.9%だった失業率は2001年には2.7%にまで下がったとのこと。

ワークシェアリングの種類とは?

ワークシェアリングには働き方の種類がおもに4つあります。ワークシェアリングは多くの従業員で仕事をシェアして、労働時間と仕事量の負担を軽減することが目的です。

ワークシェアリングは、雇用形態、雇用時間、雇用賃金を上手に組み合わせることが大切。
ここでは、ワークシェアリングの働き方の種類を紹介します。

①雇用維持型(緊急)

雇用維持型(緊急)は企業が一時的に業績の不況を受けた際に、従業員1人1人の労働時間を短縮して賃金を減らすことで、会社の存続を維持するワークシェアリングです。

会社全体の雇用を守るだけでなく、多くの従業員の雇用を守ることも目的です。一時の間は労働時間の減少で給与も少なくなりますが、リストラ防止の観点でも導入されています。大切な人材の流出を止めることもできる対策方法で、どの企業にも起こり得ることです。

②雇用維持型(中高年)

雇用維持型(中高年)は、働く人の年齢が中高年層の場合の雇用を守るためのワークシェアリングです。従業員1人1人の労働時間を短く雇用することで、高齢になった際の多くの人の雇用を維持することができます。

近年どの企業でも60や62などの定年退職が定められていますが、この定年の延長や60を過ぎた際の再雇用など、国がおこなっている方針もワークシェアリングの1つです。

③雇用創出型

雇用創出型は失業者に対して、新たな仕事を得る機会を与えることが目的のワークシェアリングです。あえて雇用時間を短くしてこの仕事が自分に合っているか見極めることができます。合っていると感じれば続けることができて、合わないと感じたら辞めることが可能。

国と企業単位でおこなっているワークシェアリングで、新たに就業する機会を設けることで、就業した後の違和感や退職などを防ぐこともあります。

④多様就業促進型

多様就業促進型は正社員でありながら、フルタイムではなく短時間にするなど自分の生活スタイルに合わせた働き方ができるワークシェアリングです。朝は子供の保育園など送迎後から、夕方はお迎えの時間までといった働き方ができるので、育児と仕事の両立が可能です。

子供の体調不良時の早退や、通院している間の就業時間の変更などもできて、介護をしているといった家庭の事情も考慮した働き方ができるので、働きやすさがあります。

ワークシェアリングをはじめる際のポイントと注意点

ワークシェアリングを導入しようとする企業側と、ワークシェアリングで働こうとする個人とで、それぞれの立場からのメリットとデメリットがあります。

ワークシェアリングを検討する際には、良い点と悪い点のポイントを抑えておきましょう。
ここでは、ワークシェアリングをはじめる際のポイントと注意点について説明します。

仕事とプライベートの両方を大切にできる

ワークシェアリングは仕事とプライベートの時間を両立できるのがメリットです。企業も個人も嬉しいポイントで、多くの従業員で仕事をシェアするので、勤務時間内に業務が完了します。残業する必要がないため、定時で帰宅して友人や家族との時間を大切にできます。

労働時間を短くすることでプライベートな時間が増えるので、心身のリフレッシュができてストレスの軽減に繋げることができます。プライベートな時間が増えると買い物など外出する機会も増えて、社会の経済効果に貢献するといった好影響もあります。

多様な人材の確保ができる

ワークシェアリングは企業側にとって、多様な人材の確保ができるメリットがあります。雇用創出をすることでさまざまな考えを持った人が集まり、アイデアも豊富に生まれます。

ワークシェアリングは優秀な人材の流出を防ぐ目的もあって、企業が不況に陥った際には従業員の雇用ではなく労働時間を短くすることで、後の人員不足も防ぐことができます。

企業の人件費を抑えられる

ワークシェアリングを導入することで、企業は人件費をカットして抑えることができます。
日々の残業や休日出勤を減らすことで、無駄な人件費を抑えることが可能です。

労働時間を減らして1人あたりが抱える仕事量も減少させれば、効率が良くなり生産性が上がることが期待できます。無理の無い仕事量にすることで、心身的な焦りやストレスも無くすことができて従業員の健康面もサポートできます。

従業員同士のスムーズな連携が難しい

ワークシェアリングは、多くの従業員同士で仕事を分け合うことができるのがメリットですが、従業員数が増えすぎると従業員同士の連携が取りづらくなる可能性があります。

業務フローが曖昧だったり、誰がどの仕事をしていまはどうなっているのか?確実に把握する必要があって、コミュニケーションが上手に取れないとかえって生産性が悪くなります。無駄な労力と時間を費やすことになってしまう可能性があるのはデメリットです。

給与が下がる

ワークシェアリングは、1つの仕事を多くの従業員同士でおこなうことが目的です。1人で抱える仕事量を減らすことで労働時間の短縮ができる一方、給与は下がります。

仕事量が多ければ多いほど時間がかかり、プライベートな時間が減って、心身の健康を脅かす危険性があるのですが、労働時間を減らすことで一定程度の給与が減少します。生活のためにお金は必要ですので、労働者から反発が起こる可能性も考えられます。

ワークシェアリングの導入事例を参考に働き方を見直すことも大切

ワークシェアリングは日本ではまだまだ浸透しておらず、海外での知名度は高いです。働き方の多様化や働き方改革で導入を検討している企業も増えてきているようですが、ワークシェアリングをおこなっている企業の有無は確認する必要があります。

ワークシェアリングは、プライベートと仕事の両方の時間を充実させることができます。
残業や休日出勤が多くては気分をリフレッシュできず、ストレスで健康を害します。多くの働きたい人と仕事量をシェアすることで給与は多少減少しますが、無理な労働時間が減って自分の時間と心に余裕を持って生活することができますよ。

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