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【中小企業診断士監修】起業を考えるあなたへ、起業までのステップ

【中小企業診断士監修】起業を考えるあなたへ、起業までのステップ

「起業してみたい!」多くの人が一度はそう考えたことがあるのではないでしょうか。しかし、実際にそこから起業する人はごくわずかです。実際にアイデアはあっても、どうやって形にすればよいのかわからないままで起業を諦める人は少なくありません。 この記事では、どうやって起業するのかをまとめました。アイデアを実現するまでのステップを紹介します。

「起業してみたい!」多くの人が一度はそう考えたことがあるのではないでしょうか。しかし、実際にそこから起業する人はごくわずかです。実際にアイデアはあっても、どうやって形にすればよいのかわからないままで起業を諦める人は少なくありません。

この記事では、どうやって起業するのかをまとめました。アイデアを実現するまでのステップを紹介します。

起業したいと思ったときに

起業したいと考えても不安が強くてなかなか一歩が踏み出せない人は多いはずです。しかし、起業したいと思ったときの第一歩はほんの小さなものでも構いません。まずは足を踏み出した事実が大切です。起業したいと思ったときにできることをまとめました。

起業する理由を考える【なぜ】

起業するときは、どんなことをビジネスにするのか、これからどうするのかと先のことを考えがちです。しかし、起業の第一歩としてどうして起業するのか、その理由を考えてみてください。

起業したいと感じる理由によって、その先の起業やビジネスに大きな違いがあります。大切なのは、その理由がネガティブなのか、ポジティブなものなのかです。ネガティブな理由、例えば在籍している会社への不満や就職活動が上手くいかないといったものだと注意が必要です。

それは今、目の前にある不安や息苦しさから逃れるために起業しようとしているのかもしれません。起業したからといって困難がなくなるとは限りません。逃げることを理由に起業をしても、また辛いことがあれば逃げてしまいます。

起業するときに大切なのは、ポジティブな理由があるかどうかです。お金をたくさん稼ぎたい、もっと自由に働きたいといったものでも構いません。もちろん、自分の能力を活用したい、やってみたいことがある、商品化したいアイデアがあるといった理由も大切です。自分が何のために働くのか、その理由を見つめなおしてみましょう。

アイデアをまとめる

起業のスタート地点とも言えるのがアイデアです。すでにやりたいことが決まっていれば、それに向かってすぐにでも進みだせますが、そうでない場合にはアイデアを見つけることから始めましょう。

アイデアを考えるときに大切になるのがニーズです。これは自分だけのニーズではなく、世間の誰かが欲しがっているということも重要です。自分が欲しいと思うものでも、社会で求められていないものは、ビジネスとして成立させるのが困難です。

例えば、既存製品の改良を考えることも、起業に向けたアイデアのヒントになります。アイデアを思い付いたら、メモ等に書き出しましょう。思い付いたアイデアを他のアイデアと結びつけたり、グルーピングしたりして整理します。アイデアが固まってきたら、起業に向けてまとめていきましょう。

アイデアを形にするときには、自分のアイデアと類似の商品やサービスがないか調べてみてください。自分の考えに近い商品を見つけたとき、すぐに諦めるのではなく差別化できないか考えます。

すでに類似の商品やサービスがあるということは、ニーズがあってビジネスとして成立していることを意味しています。上手く差別化のポイントを探して、競争優位性を高めていきましょう。

ターゲットを考える【誰に】

アイデアがまとまったら、いよいよビジネスとして成立するかどうかビジネスモデルを組み立てます。大切なのはどのような顧客(=ターゲット)を獲得するのかです。

顧客のニーズは多様化しています。誰に対しても売れる、万人受けする商品やサービスの開発は難しいことです。ビジネスモデルを組み立てるには、どのような顧客(=ターゲット)に向けて商品やサービスを訴求するのか、どうやって知ってもらうか、どのように販売するのかと多くの要素を考えなければいけません。

ターゲットを明確にすると、商品やサービスの開発、広告宣伝等の方法の焦点が定まりやすくなります。ターゲットを絞った商品よりも万人受けする商品の方が売れそうに感じるかもしれません。しかし、顧客に対して専門性をアピールでき、顧客が自分に向けた商品と受け取るためにもターゲットはある程度絞っておきましょう。

ターゲットを考えるときに有効なフレームワークが「STP分析」です。STP分析は「セグメンテーション」「ターゲティング」「ポジショニング」の頭文字を取って名付けられました。

最初におこなう「セグメンテーション」とは、市場を細分化することです。国や地域、年齢や性別、職業やライフスタイル等の切り口を用いて、似たようなニーズや属性を持つ顧客のグループを作ります。

そのうえで、似たようなニーズや属性を持つ顧客のグループから、獲得したい顧客のグループを決めることを「ターゲティング」と言います。セグメンテーションとターゲティングの流れを踏まえ、ターゲットを考えましょう。

ビジネスモデル(形式)を考える【どうやって】

ビジネスモデル(形式)とは、企業が収益を生み出す仕組みのことです。商品やサービスをどうやって顧客に届け、儲けられるかを考えます。平たくいうと、ビジネスモデルとは「誰に」「何を」「どのように」届けるかを考えることです。

たとえば、農家は、米や野菜を作って販売することで収益を生みます。一般的には「物販モデル」と呼ばれる形式です。また、スーパーは、農家から野菜を仕入れて販売することで収益を生んでいます。これは「卸売モデル」と呼ばれる形式です。

他にも、電気やガスなど、利用した分に応じた対価を受け取るビジネスモデルや、広告を掲載して広告主から対価を受け取るビジネスモデルもあります。

ビジネスモデルを考える上で大事なポイントは、「誰に」「何を」が同じ企業であっても「どのように」を変えれば、顧客に与える価値が変わることです。自分がやりたいビジネスをすでに他の企業がしている場合でも、「どのように」を工夫すれば、ライバル会社に対して優位に立つことはできます。

ビジネスをするにあたって、競合他社がいるのは普通のことです。競合他社がいるからと起業を諦めるのではなく、優位に立てるビジネスモデルを考えましょう。

計画を立てる

事業のアイデア(コンセプトの話は上記でしていないので、アイデアに留めるのがベターかと思います。もしくはターゲットとビジネスモデル)やターゲットが定まったら、いよいよ事業計画を立てるステップに進みます。

事前にまとめておいた事業コンセプトを土台として、実際にどのように準備を進めればよいのか、成功のために何を用意すればよいのかを具体的に計画しましょう。事業の計画を立てる方法をまとめました。

起業費用の計算

ビジネスは収益を上げることが目的ですが、そもそもビジネスを始めるのにはお金がかかります。起業する際に必要な費用には「開業資金」と「運転資金」があります。それぞれの費用がどのようなものかを理解し、いくら必要かを検討しましょう。

・開業資金
開業資金とは、起業のために必要な費用です。開業資金のうち、事務所や店舗を借りる場合の費用や改装、備品を購入するための費用が「設備資金」です。また、会社を設立する場合、登記などにかかる費用は「諸費用」と呼ばれます。

・運転資金
運転資金とは、事業を継続するために必要な費用です。人件費やオフィス等の家賃、商品の仕入れ費用などがあります。どのような事業でも、収入と支出のタイミングにずれが生じるのは珍しくありません。タイミングのずれを考慮し、運転資金には余裕を持たせることが大切です。

人と資金の調達

開業資金や運転資金がいくらになるか計算したら、次にどうやって調達するかを考えます。事業の資金としてまず考えるのが自己資金です。自己資金であれば、返済義務や利息の負担なく事業に集中できます。起業後の生活費も合わせて、まずは自己資金の調達を検討しましょう。

外部から調達する場合には、金融機関からの借入を検討します。借入をしたい場合は、事業計画書を持って金融機関に相談しましょう。

ただし、借入には審査があり、審査基準を満たさないと借入ができません。審査に通らなかったとしても、担当者からアドバイスを受けられる可能性があります。最初から借入での調達を諦めるのではなく、一つの手段として覚えておきましょう。

また、経済産業省や厚生労働省では、新規事業向けの補助金や助成金の交付をおこなっていることもあります。
※その他、ベンチャーキャピタルや投資家からの出資も資金調達の選択肢として検討しましょう。

加えて、起業に際して人材が必要な場合にはその調達もおこないます。求人方法には、ハローワーク等の求人広告のほか、求人サイト、紹介等があります。求める人材象や雇用形態もあらかじめ検討してください。

起業方法に合わせて手続きする

ビジネスの事業計画や損益計画が定まったら、手続きに進みましょう。実際に手続きに進むことで、起業した実感がわいてモチベーションにもつながります。起業に必要な手続きは、選択した起業方法によって違います。個人事業主の場合と法人の場合、さらにフランチャイズの場合に分けて説明するので確認しましょう。

個人事業主の場合

起業する方法の中でも、比較的手続きが簡便なのが個人事業主です。個人事業主として起業するには、納税地を所轄する税務署に対して、「個人事業主の開業・廃業等届出書」を提出します。

提出方法は、税務署に持参、郵送、e-Taxを利用しての電子申請が可能です。

個人事業主は法人よりも税金の計算が手軽な点がメリットです。青色申告にしておくと、条件付きで特別控除が受けられるので、確定申告にあたって青色申告を希望する場合は開業と同時に青色申告の手続きも済ませておきましょう。

ただし、個人事業主は法人と比較して事業をするときの信用性で劣ると捉えられる場合があります。取引先によっては法人としか取引しないケースもあるので注意してください。まずは手続きや費用が少なく済む個人事業主として開業して、事業が安定してから法人化する方法もあります。

法人の場合

法人は個人事業主と比較して、一般的に社会的信用が高い点がメリットです。法人になることによって、資金調達しやすくなったり、優秀な人材を採用しやすくなったりすることもあります。ただし、法人は設立手続きや税務などの事務処理がやや煩雑です。

法人設立に必要となる定款は作成してから、公証人の認証を受けなければなりません。これには3万円〜5万円(資本金の額によって異なる)の手数料がかかります。また紙の定款の原本には4万円分の収入印紙を貼付します。

電子定款では、収入印紙が不要ですが、電子定款の作成に必要なソフトウェアの費用がかかることもあります。さらに法務局での設立登記時には登録免許税が必要。登記したあとは税務署に届け出てください。

法人設立後は、「法人設立届出書」と「源泉所得税関係の届出書」、「消費税関係の届出書」などを税務署に提出します。

フランチャイズの場合

起業する方法として、フランチャイズオーナーを選択する人もいます。これはフランチャイズチェーンに、加盟店(フランチャイジー)として加盟し、フランチャイズ本部(フランチャイザー)が有する商品やブランド力を活用しながら経営する方法です。フランチャイズオーナーは、それらの対価としてフランチャイズ本部(フランチャイザー)によって定められたロイヤリティを支払います。

フランチャイザーによる開業支援や経営指導が受けられるため、未経験から起業したい人や経営者としての経験を積みたい人にも適した方法です。

フランチャイズオーナーは、法人でも個人事業主でもなることが可能です。個人事業主としてフランチャイズオーナーになるときは、税務署に開業届を提出します。上記で説明したように書類の提出だけなので、手続きは簡便で手数料もかかりません。一般的な個人事業主と同じように日々の経理や確定申告もおこないます。

フランチャイズチェーンに加盟するには、フランチャイズ本部と契約をすることになります。フランチャイズは、フランチャイザーによる開業支援や経営指導が受けられ個人でも起業しやすい方法ですが、契約を細部まで理解しておかないと後からトラブルにつながることもあります。独立した事業者としての責任感を持って事業に臨みましょう。

起業のステップを知って第一歩を踏み出そう

社会や環境の変化によって、より多様な働き方が求められるようになりました。今まで雇用されて働くことしか考えていなかった人も、選択肢の一つとして起業を加えてみましょう。

起業と聞くと大げさに感じるかもしれませんが、決して大それたものではありません。起業は自分に合う働き方を探すのにも適した方法です。在宅で働きたい、経営者として自分の実力を試したいといった自分のニーズを掘り起こしてみてください。

このような商品やサービスがあればいいのに、このような働き方がしたいといったつぶやきも成功への道筋につながっているかもしれません。

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