タスマガジン|副業を頑張る人のお金の情報マガジン

日本の所得再分配の種類を紹介!状況も把握しながら理解を深めよう

日本の所得再分配の種類を紹介!状況も把握しながら理解を深めよう

所得再分配は日本の社会を支えるカギとなる仕組みです。経済的に余裕がある人や企業から多く徴収し、経営が苦しい企業や人からは少なく徴収する国の仕組みで、所得の格差を埋める目的があります。基本的に高所得者が多く納税する制度です。

所得再分配は日本の社会を支えるカギとなる仕組みです。経済的に余裕がある人や企業から多く徴収し、経営が苦しい企業や人からは少なく徴収する国の仕組みで、所得の格差を埋める目的があります。基本的に高所得者が多く納税する制度です。

所得再分配にはいくつか種類がありますので、ご紹介します。

所得再分配の種類

所得再分配は、3種類の方法があります。いずれも、高所得者が多く徴収され、低所得者が少なく徴収されるものです。

ひとつずつ確認していきます。

租税制度での所得再分配

所得税や住民税、相続税などに応じて、政府が租税を徴収する方法です。累進課税が該当します。つまり、所得や遺産の額が増えるほど、税率や税額が高くなる所得再分配の代表的なものです。

租税であるため、行政サービスを遂行する上で必要な経費を支給するために国民や住民に対して課税します。そして、代償を与えずに強制的に徴収する制度です。

社会保障制度での所得再分配

介護保険や医療保険、年金などの社会保険料で租税徴収します。社会全体で低所得者を支えながら、社会保障サービスのリソースとします。

社会保障制度による所得再分配も、所得の多い人が保険料をたくさん負担します。それぞれ、年金、医療保険、介護保険と保険料の仕組みが異なります。

労働保障制度での所得再分配

労働者の給与や福利厚生を保障して、直接富が労働者に回るようにする方法です。上記の2つとは特徴が異なります。

労働の対価として、需要があるスキルを持っている人は高い賃金、需要があまりないスキルを持っている人は低い賃金を支払われるのが一般的です。ですが、安い給与が原因で生活ができなくなってしまっては、生活水準が一向に変わりません。そして、放置を続けると社会全体の不安につながります。

しかし、法律で支払う賃金の下限を定めてしまえば、間接的に最低限の生活が保障されます。所得再分配制度は、低所得者からすれば嬉しい限りですが、高所得者は反発しても不思議ではない制度です。

以上の3つは「富の再分配」と呼ばれています。

Miniature people: Elderly people sitting on coins stack. social security income and pensions. Money saving and Investment. Time counting down for retirement concept.

所得再分配が必要な理由

前述した通り、所得再配分を通じて格差をなくすのが大きな目的です。しかし、理由はそれだけではありません。その他にある理由をご紹介します。

経済成長の低下をさせないため

所得による格差が拡がると、経済成長が低下します。事実、多くの先進国で富裕層と貧困層の格差が拡がり、中長期的な経済成長率が低下しています。

所得再分配によって、高齢者の人口が多く、若者の正規雇用が少ない事実から、格差が拡がっています。つまり、所得再分配が上手く機能していないと考えられるでしょう。また、少子高齢化による人口問題、若者の貧困問題を解決するためにも所得再配分が必要です。

所得再分配が機能しないと、所得格差が生まれてしまいます。このままでは経済成長が低下し、経済成長が伸びません。

したがって、経済成長率を伸ばすためにも、所得再分配が必要です。

格差固定化を防ぐためにも必要

現代は、頭を使う労働に移りつつあります。教養や専門性などのスキルや知識を得られるのは重要であり、いつでも学べる環境がある状態にするのは本人だけではなく、国全体のためにもなります。

しかし、お金がなければ何もできません。勉強にだけ集中できる経済力がある人と、働きながら勉強している人では、結果に差が生じます。実際に、東大生の多くは裕福な家庭で育っている人が多いとのデータが存在します。
出典:https://www.univcoop.or.jp/press/life/report48.html

調査結果によると、
・全体の約57%の学生が年収950万円以上の家庭である
・約6人に1人の学生の家庭が年収1,550万円以上である
との結果が出ています。

子供に充実した環境を提供すれば、所得が高くなる見込みがありますし、不十分な環境しか用意できなければ、教育による能力や才能の開花が困難です。

当事者だけではなく、国にとっても損失になります。格差が拡がると、国の将来にまでも影響を及ぼしてしまいます。

上記のような格差の固定化は防がなければなりません。低所得者の子供が挑戦できるような環境を作るためにも、所得再分配が必要です。

働けない時の救済措置のために必要

事故によるケガや病気などで、働けない状態になる可能性がある以上、生活保護などの制度が必要です。生活保護の制度自体に不満の声を出す人は少ないでしょう。

しかし、本来受給するはずの人が生活保護の受給を認められなかったり、生活保護を必要としない人が虚偽の申告をして受給をしていたりと、生活保護制度の運用に粗さが目立つのは事実です。

また、生活保護の制度自体が「自律意欲を削いでいる」疑問の声をよく耳にするようになりました。生活保護などの救済措置に、国民全員で制度について関わっていく必要があります。

日本の所得再分配の調査方法はどうなっている?

厚生労働省では、所得再分配について調査をしています。調査方法から、ジニ係数、日本の所得再分配の現状についてもご紹介します。

所得再分配の調査方法

調査方法は3年に1度、配布した調査票に世帯員が記入して調査を行い、後日に調査員が回収する留置自計方式を使って調査を行っています。対象者は、国民生活基礎調査の準備調査によってランダムにピックアップした500単位区内全世帯、世帯員です。

調査の内容として、医療、介護の受療、給付状況、保育所の利用状況、拠出金、需給金の状況です。結果は、今後の施策の資料を作る目的もあります。

ジニ係数を用いて所得格差を明らかにする

所得格差を示すのに使用するのがジニ係数です。ジニ係数は0から1の間の数字で表されます。定義としては、
・0に近いほど所得格差がない状態(所得分配が成功している)
・1に近いほど所得格差がある状態(所得分配に失敗している)
です。ジニ係数は2種類あり、
・当初所得ジニ係数
・再分配所得ジニ係数
があります。当初所得ジニ係数は、税金や保険料などの公的な費用を支払う前の所得金額をもとに算出したジニ係数です。そして、再分配所得ジニ係数は、当初所得から税金を控除して算出されたジニ係数になります。

例えば、1999年では日本の当初所得のジニ係数は0.472でした。しかし、2017では0.5594までに上昇しています。つまり、所得格差が拡がっていると考えられます。ちなみに、ジニ係数ので求められた数値の目安は0.5であると言われ、0.5を超えると所得格差を拡げないための対策が必要です。

反対に、日本の再分配所得のジニ係数に注目すると、1999年では0.381です。そして2017年では、0.3721になっています。1999年よりも、所得再分配が上手く機能しています。

現在の日本のジニ係数は状態が改善されつつある

厚生労働省が発表したジニ係数の改善水推移を用意しました。確認してみてください。

実は日本の時に係数は右肩上がりです。そして、2005年で基準となっている0.5を超えています。しかし、2014年、2017年を見ると昨今では徐々に改善改善しているようにも見えます。中間所得層の増加が要素になったとされています。

安定して景気が続けば所得格差が少しずつなくなる可能性があります。
出典:https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/19/backdata/01-01-08-09.html

格差が拡がる原因についての理解も必要

所得再分配のお話をしてきましたが、そもそもなぜ「格差が拡がったのか」についての理解も必要です。前述した、世帯年収による教育の格差も原因の一つです。

しかし、ここでは様々な観点から格差が拡がる理由をご紹介します。

非正規雇用者が増加した

非正規雇用の増加は、所得格差が拡がる原因です。正規雇用者と比較すると、非正規雇用者の所得が低く、福利厚生等の待遇面も満足ができるものではありません。

非正規雇用者は年々増えていて、2018年から2019年にかけては約70万人も増加しています。企業にとっては人件費が削減され、リスクも抱えないで済みますが、所得格差を拡げている要因だと認識が必要です。

少子高齢化も影響

年金に頼って生活している高齢者は、共通して低所得者になります。しかし、一部の人は会社の役員になっているため、高齢でも高収入を維持し続けています。高齢者になると、より、所得格差が拡がってしまうのです。

日本において、高齢者がどんどん増加している傾向があります。そして、これからも増え続けていきます。高齢化社会の進行は、所得格差を拡げていくものになります。

所得税率の変化も影響

日本の所得税の制度は、累進課税制です。所得に比例して課税額が上下します。格差をなくす目的があるのに、実は上手く機能していません。

例えば、1974年で累進制の最高税率は75%でした。徐々に税率が緩和されていき、2015年になると最高税率は45%まで低下しています。つまり、高所得者が納める税金は下がり続けています。

富裕層の収入や貯蓄が増え続けているため、所得格差が拡がり続けています。

ひとり親世帯が増加した

ひとり親世帯が増加しているのも、所得格差を拡げる原因です。母子家庭の場合、正規雇用での仕事がなかなか見つかりません。子供を出産し、子育ての生活になったあとに離婚をした場合、正社員を諦める女性もいます。

子供の進学率にも影響し、大学までの進学率も減少しているのも事実です。そして、今後もひとり親世帯の所得格差が続くと予想されています。

所得再分配についての理解を深めよう

所得再分配は、所得格差をなくすために行われています。しかし、所得再分配が上手く機能していないのが現状で、所得格差が拡がり続けていくと懸念されています。

今後も所得格差が拡がる可能性が高いため、しっかりと所得再分配についての知識を身につけておいて、対応できるようにしましょう。

TOP