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ベーシックインカムとは?導入事例やメリットとデメリットに注目!

ベーシックインカムとは?導入事例やメリットとデメリットに注目!

全ての人が最低限の暮らしを保障される制度がベーシックインカムです。日本だけではなく、世界でも検討されている制度で、実際に導入をした国も存在します。 日本でも大多数の人が導入を希望していますが、問題もあるのでなかなか導入されずにいるのが現状です。ベーシックインカムのメリットとデメリット、導入した国の事例を確認していきます。

全ての人が最低限の暮らしを保障される制度がベーシックインカムです。日本だけではなく、世界でも検討されている制度で、実際に導入をした国も存在します。

日本でも大多数の人が導入を希望していますが、問題もあるのでなかなか導入されずにいるのが現状です。ベーシックインカムのメリットとデメリット、導入した国の事例を確認していきます。

ベーシックインカムのメリット

まずは、ベーシックインカムのメリットからご紹介します。最低限の生活を保障する制度なので、導入すると期待されるメリットは非常に多くあります。

貧富の差がなくなって安定した生活ができる

無条件でお金が配られるので、現在の給与に満足していない人や、生活が厳しく毎月切り詰めている人でも最低限の暮らしができます。育児中で仕事ができない女性も対象となり、子供が増えるほど受け取れる金額が大きくなりますので、子育てに対する不安が和らぐでしょう。また、安定して子育てができるので、少子化対策にもなると考えられています。

病気やケガなどで仕事ができない人でも安心です。ベストコンディションになってから仕事に復帰できるので、治療に専念できます。

労働環境が整ってホワイト企業が生き残る

ベーシックインカムによって最低限の生活が保障された場合、労働環境が悪い会社からは人がいなくなり、労働環境の良い会社だけが残り続けるでしょう。労働環境が悪い会社は、環境を整えるために力を注いで人を雇うようになります。

悪い待遇なのに生活があるから仕事を辞められない人や、いわゆるブラック企業に勤めている人も救済されます。労働環境に対するストレスから開放されるので、新しい働き方が生まれる可能性もあるでしょう。

何事にも挑戦しやすい社会になる

ベーシックインカムは、最低限の保障だけではなく、働いた分の収入も上乗せされて支給されます。お金が原因で諦めてしまった、
・大学や専門学校への入学
・キャリアアップやスキルアップ
・資格取得
などに対して挑戦しやすい社会になるでしょう。生活に必要な収入が約束されているため、これまでよりもチャレンジできる社会に変わります。

景気の回復が見込める

景気を刺激するためには「消費を増やす」のが基本です。収入が増加しなければ実現しませんが、ベーシックインカムを導入すれば解決します。人々が消費を繰り返し、景気を刺激すてば、景気の回復が見込めます。

高齢者の貯蓄から消費されるとも考えた場合、景気の回復は一気に近づくでしょう。

犯罪の抑制効果も期待できる

犯罪の発生理由として貧困が関係していると言われ、貧しさから盗みを働くケースも確認されています。青少年の場合は「貧困から非行に走る」とも考えられます。

しかし、ベーシックインカムを導入して最低限の生活を保障すれば、貧困を感じずに成人まで成長できるので、非行少年や強盗などを抑えられる期待がされています。

ベーシックインカムのデメリット

続いては、ベーシックインカムのデメリットをご紹介します。最低限の生活が保障される上でのデメリットとは何でしょうか?

メリットが多い分、デメリットも多くなります。

仕事に対するモチベーションアップが困難

仕事をしなくても最低限の生活が保障されるので、仕事に対するモチベーションの低下が懸念されています。前述した通り、何事にも挑戦しやすくなる社会になると予想されるため
・給与が安くても自分のやりたい仕事をする
・人気がない職種は人材が集まらない
などのリスクが生じます。

生活ができるお金が保障されるので、労働時間を減らしたり、働く行為そのものを止めてしまったりする人が出てくるでしょう。仮に仕事を辞めてしまう人が続出した場合、学校や病院の建設や公共事業が進められずに「生活するお金があるのに生活環境が崩れてしまって生活ができない」状態にもなり得る可能性があります。

とにかく膨大なお金が必要

ベーシックインカムを導入するにあたって、一番の壁である要素が財源の確保です。全ての国民に等しく給付するお金の確保をどうするかが問題となっています。

失業保険や年金、生活保護などの社会保障を一緒くたにしてベーシックインカムを導入すれば、削減できるコストを財源として使う考えがあります。反面で、ベーシックインカムを導入した際には、消費税を増税させて財源を確保する声もあります。

他にも、
・富裕層が負担する税金が増えてしまう
・社会保障が廃止になる
などの意見がある中で議論が続いているのが現状です。ベーシックインカムを導入した後に、公平な社会保障になるか、一部の人だけが負担になる税制にならないか、なども懸念されています。

企業の経済競争力がなくなる

ベーシックインカムが導入された場合、待遇が悪い企業で仕事を続ける理由がなくなると前述しました。企業側としては、人手不足を避けたいため、給与を高くして対策を取る必要があります。人気がない企業ほど給与を高くしなければならなく、残る利益が少なくなってしまい、競争力が低下します。

国が財源を確保するために増税した場合、企業は利益を得るために製品やサービスの値上げをして対策をしなくてはなりません。物価が上昇するため、経済競争力が弱まってしまうと考える人もいます。

所得の再分配が弱くなる

政府は税金を徴収する際に、経済的に豊かな企業や人に対しては多くの金額を徴収します。そして、経営が上手くいかない企業や生活が苦しい人に対しては少ない金額を徴収しています。

上記は一例ですが「所得の再分配」であり、社会の格差を埋める仕組みです。しかし、ベーシックインカムが導入されて一律して同じ金額が給付された場合、所得の再分配が機能しなくなる、もしくは機能が弱まると懸念されています。

ベーシックインカムによって、一律して同じ金額が支給されるためです。

最低限の生活が送れる資金の適正金額を算出するのが困難

どちらかというと、ベーシックインカムの導入を困難にさせる要因の一つですが、支給する適正金額の算出が困難です。一人ひとりの生活基準が異なるので、最低限の暮らしができるお金を算出して国民全員が納得できる金額を計算するのも時間がかかります。家族構成や物価、個人の価値観までを加味したらキリがありません。

ベーシックインカムを導入した国

ベーシックインカムを試験的に導入した国を見て、何が起きたか、国民はどう変化したかなどをチェックしていきます。成功例、失敗例もあわせて確認していきましょう。

フィンランドでの導入事例

2017年の1月、フィンランドは、失業者2,000人に対して毎月560ユーロ(当時で約7万円)を試験的に支給しました。実験の目的は、受給者の健康状態や精神状態、雇用や収入などの変化を観察するものです。

結果として、
・生活に満足した
・精神的なストレスも大幅に軽減
・自分の将来に自信が持てた
などの声があがっています。自らボランティア活動をした人もいて、社会参加を促すケースも確認されています。

しかし、政府が思っていたほど雇用への効果がなかったと結論が出ました。しかし、積極的に仕事に取り組む人が多く、ベーシックインカムの導入と労働意欲の低下はイコール関係ではないとの証明にもなっています。

現在フィンランドではベーシックインカムを終了しています。

スイスでの導入事例

スイスでは、2016年にベーシックインカムの導入を決定する国民投票が行われました。導入を推進している人達は「貧困撲滅」を訴えて署名活動をしている中、反対派は「コストがかかる」「生産性の低下や労働意欲が削がれる」などと主張し、連邦政府も反対の立場でした。

投票率は46.3%で、賛成が23.1%、反対が76.9%と一目瞭然の結果で否決になっています。しかし、ベーシックインカムの導入を国民全体に問う試みは世界で初です。

カナダでの導入事例

カナダも同様に2017年にベーシックインカムの導入実験を行っています。オンタリオ州の約4,000人が毎月お金を受給できるもので、世界で最大級の試みだと話題にもなりました。

元々3年間行う予定で行われた実験でしたが、コスト面が約1年で終了しています。

日本でベーシックインカムは導入される?

世界各国でベーシックインカムの導入実験が行われていますが、継続できているケースは非常に稀です。ほとんど成功している例はないと言って良いでしょう。

しかし、日本はベーシックインカムを導入できるのかどうか気になりますよね。現状の日本を考えた時にベーシックインカムは導入されるのでしょうか?

日本でベーシックインカムが導入される可能性は低い

与党の自民党がベーシックインカムに反対しているため、導入の可能性は低いと考えられます。また、一番の問題である、財源の確保が非常に困難です。社会保障とあわせて見直すべき問題となってしまうので、社会保障からプラスして現金給付を受けられません。

これまで厚生年金や国民年金を収めてきた人からは、必ず反対の声が上がるでしょう。膨大な金額になりつつある生活保護費を抑制できる効果が期待できるとはいえ、生活保護受給者からの反発も考えられます。

「財源をどうするか」を徹底的に議論すると、年金や保険料などの話もしなければなりません。議論はされても導入するのは困難だと考える人が多くいます。

導入には消費税を増税しなければなりませんし、年金制度などの社会保障をなくす代わりにベーシックインカムを導入する方向になるため、反対の意見が多く出るでしょう。導入までにいたらなくても、議論は始まっているので、今後の動きをチェックし続けていく必要があります。

ベーシックインカムの動向をチェックしよう

ベーシックインカムは現代の日本において非常に理想的な制度であるかもしれませんが、コストの問題や増税の問題、社会保障の廃止なども検討されるため、今後も徹底的に議論が繰り返されるでしょう。

今後のベーシックインカムの動向に注目していく必要があります。

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