個人事業で飲食業を開業するのに必要な資格は?資金調達や手続きの流れを解説
飲食店を開業するのにあたり、必要な開業資金はどれくらい必要なのでしょうか?開業準備にはお金が色々かかり、最初にかかるものを考えてみると、店舗の契約金、内装工事、調理器具や食器などがあります。
これは最初に必要な開業資金でまかなえますが、経営するにあたり長く運営していかないといけないので、運転資金も必要になってきます。具体的にどれくらい必要になのでしょうか?
個人事業飲食業で開業するには資金はいくら必要?
開業準備にはお金が色々かかり、最初にかかるものを考えてみると
・店舗の契約金
・内装工事
・調理器具や食器
などがあります。
これは最初に必要な開業資金でまかなえますが、経営するにあたり長く運営していかないといけないので、運転資金も必要になってきます。具体的にどれくらい必要になのでしょうか?
開業資金の考え方
開業にかかるお金を細かく分けると
・物件取得費用
・店舗投資費用
・運転資金
・生活費
と分けられます。
物件取得費用とは、物件の取得に必要なお金です。物件取得費用にかかる費用は「保証金:家賃10ヶ月分・礼金」「仲介手数料:家賃1ヶ月分」「前家賃:家賃1ヶ月分+日割」がかかります。
店舗投資費用とは、店舗として体制を整えるために必要なお金で、わかりやすく言うと「内装」です。店舗投資費用にかかるものでいうと、厨房機器・外装・内装・アルバイト募集費用がこれにあたります。
運転資金は開業してから、材料費やテナントにかかる費用といった固定費を指します。運転資金はどれくらいあるといいのでしょうか?日本政策金融金庫のデータによると、開業してから軌道に乗るまで約6ヶ月かかるという結果が出ています。最低でも6ヶ月間は赤字と見たほうがいいので、固定費の6ヶ月分を目安にするといいでしょう。
生活費は家族を養うためのお金です。飲食は直ぐに現金として得ることができますが、そのお金は固定費に消える可能性があるため、先程述べた運転資金と同じ考えで最低でも6ヶ月分を確保しておくことをおすすめします。
開業資金に必要な金額
飲食では現金中心の商売ですが、手元に少ない運転資金でオープンしても、気持ちの余裕もなく、店のサービス低下にもつながってしまう可能性も出てきます。
気持ちの余裕も持たせるためにも、開業資金と運転資金は最低でも1,000万円は用意しておくといいでしょう。
資金調達の方法
お店を開くための融資手段として
・日本政策金融公庫の新創業融資
・自治体と金融機関が協力して行う制度融資
があります。創業期の融資は、自宅を担保に入れたり、連帯保証人が不要といったメリットがあります。
融資の実行までには1ヶ月ほどかかり、審査もあります。融資の状況によって物件の契約や建物の内装工事を行うタイミングなども決まるため、用意周到な準備は必須です。
資金ゼロでも開業できる?
結論から言うと、自己資金0円での開業は不可能です。自己資金0円ということは、どこかから融資を受ける必要があるからです。
自己資金がなく融資を受ける場合、条件として不動産の契約書を求められます。つまり、融資を受ける前に不動産の支払い(保証金・礼金)は支払い終わっていないといけない状況になります。
ちなみにここでいう保証金は、相場の家賃の「10ヶ月分」です。仮に家賃が20万円だとしたら、物件を契約するのに200万円必要で、そこに礼金や不動産会社への仲介手数料が加わります。
このようなことから資本金0円で開業というのは不可能ということがいえます。
飲食業の開業に必要な資格
・食品衛生責任者
・防災管理者
調理師免許は必須条件ではないですが、必要ではない理由をのちほど説明します。
食品衛生責任者
仮に食中毒が出た場合、今まで積み上げてきた信頼を失う可能性もあるため、衛生管理も店舗を経営する上で大事な仕事です。資格を獲得するには、各地で開催されている食品衛生責任者の養成講習(基本的に1日)の受講を修了することで食品衛生責任者になることができます。
防火管理者
ここでいう30人というのは、お店が入っている建物全体の人数のことを指すので、店舗の中が30人未満であっても建物全体で30人以上になる場合は防災管理者の選任が必要です。
調理師免許は必須ではない
これは調理師免許がなければ開業できないという法律がないためですが、世の中のイメージが調理をする人=調理師免許を必ず持っているというイメージがあるからだと思います。
免許がなくても開業はできますが、調理師免許があるということはお客様に知識や技術が一定以上あるというアピールにも繋がります。開業するときに、ご自身が調理をするのであれば、店をアピールする一つ武器として持っていてもいいでしょう。
調理師免許の取得方法として
・厚生労働大臣が指定した調理師学校を卒業
・2年以上飲食店で調理などの実務経験後、調理師試験を受験
このどちらかの条件を満たした人が調理師免許を獲得できます。余談ですが、調理師免許を持っていないのに「調理師」と名乗った場合は法律で罰せられます。
個人事業で飲食業を開くのに必要な手続きは?
手続きは4つあります。
・個人事業主の開業届出書
・防災管理者選任届
・労災保険・雇用保険の加入手続き
・深夜酒類提供飲食店営業開始届出書
それぞれどのような届出書なのか詳しく解説します。
個人事業主の開業届出書
しかし、青色申告で確定申告をする場合は必ず提出します。開業届は国税庁のホームページからダウンロードするか、最寄りの税務署で書類を受け取り、e-Taxか郵送・持参で提出します。
都道府県ごとに提出先や提出期限が異なるため、事前に「事業開始等申告書+都道府県名」で検索すると提出先や期限、申告書の入手方法がわかるので、必ず確認するようにしましょう。
防火管理者選任届
提出した後、「消防計画作成(変更)届出書」を作成し、再度管轄の消防署に提出をして手続きは終了となります。
労災保険・雇用保険の加入手続き
労災保険は、労働者を一人でも雇った場合、2つ提出します。1つ目は保険関係成立届で、10日以内に提出します。
2つ目は労働保険概算保険料申告書で、50日以内に届け出ます。いずれも、お店の所在地を管轄する労働基準監督署が提出先です。
労災保険は業務中にケガをしたのを保障する保険で、従業員を守るための保険でもあります。ケガを負ったことにより治療費がかかってしまうことや、働けなくなった場合、この保険があることで負担を軽減することができます。
雇用保険は働く条件により異なりますが、被保険者の雇用の安定や、再就職の促進を目的としている公的な保険制度です。従業員が離職したときに「基本手当(失業給付)」を支給し、再就職までの経済的なサポートを行うため、加入が義務付けられています。
1週間の所定労働時間が20時間を超えて、31日以上継続雇用する予定がある方を雇用した場合は必ず加入しましょう。提出期限は、雇用関係が成立した日が属する月の翌月10日までです。
届け出を出す場所は公共職業安定所(ハローワーク)で、「雇用保険適用事業所設置届」「雇用保険被保険者資格取得届」を提出します。従業員が過去働いていた場合は、「雇用保険被保険者証」による被保険者番号も必要です。
深夜酒類提供飲食店営業開始届出書
AM0時からAM6時までの間に主にお酒を提供する飲食店を開きたいときは、開店する10日前までに届けを提出しましょう。届け出る場所は、所轄の警察署です。
飲食業を開業するにあたり、必要な資金、必要書類の提出を確認しましょう
必要な資金は最低でも1,000万は用意しておくのが無難です。開業資金の他にも固定費、生活費がかかるからという理由ですが、お店の軌道が乗るまでに全国のお店の統計を取ると、約6ヶ月というデータが出ています。そのため固定費や生活費を6ヶ月分確保しておきましょう。
必要な届出書は全部で4つあります。
・個人事業主の開業届出書
・防災管理者選任届
・労災保険・雇用保険の加入手続き
・深夜酒類提供飲食店営業開始届出書
この4つは必ず提出するようにしましょう。