個人事業主と法人の違いは?メリット・デメリットも紹介
フリーランスで仕事をするなら、「個人事業主」と「法人」のどちらにすればいいのか、また個人事業主から、会社拡大による「法人化」にすべきか悩む人は少なくありません。税金対策などの理由を聞いたことがあっても、具体的な違いについて詳しく話せる人は実は少ないのかもしれません。
メリット・デメリットをよく理解し、「個人事業主」か「法人」か比較し、選ぶ際にお役立てください。
メリット・デメリットをよく理解し、「個人事業主」か「法人」か比較し、選ぶ際にお役立てください。
個人事業主とは?
ここでは、個人事業主のことについて解説していきますので、フリーランスと混合しないよう、気を付けておきましょう。
個人事業主のメリット
法人にはない個人事業主のメリットを知ることで、今のあなたは法人で開業するのか、法人で開業するのかを考える一つのポイントになります。
所得が低いなら、税金がお得に
法人の場合、法人税を支払いますが、所得が低いようなら、法人より個人事業の納税額が少ないのも魅力です。
確定申告が簡単で行いやすい
とくに、青色申告は控除額が大きいことがメリットですが、開業するときに開業届のほか「青色申告承認申請書」の提出が必要になってきます。また、青色申告では複雑な事務処理が必要となりますが、節税のメリットが大きいのでおすすめです。
また、確定申告も簡単に処理できるソフトなどがありますので、青色申告は個人でも行うことができます。
白色申告は、簡単な記帳になりますが、控除などのメリットはありません。
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法人とは違い、スムーズにできるのも魅力だと言えるでしょう。
個人事業主のデメリット
まずは、個人事業主のデメリットをきちんと把握し、良い事業へとつなげていきましょう。
社会的信用度は高くない
法人は、開業届を提出するときにも登記登録など簡単に登録をすることができません。ある程度の安定した所得がなければ、法人化させることができないこともあり、また継続して安定した所得を得られるようであれば、さらに社会的信用は大きくなるでしょう。
取引先側からみると、法人と個人の一部の取引では源泉徴収の納付というものがあります。納付の義務は法人にありますが、現在10%ほどの税金になるうえ、これらを計算し納付しなければなりません。そのため、法人は法人での取引を望む傾向が強いと言う要因も、一部にあると言えそうです。
このようなことからも、社会的信用度が高いほど、契約や取引などの幅も広がると言えるでしょう。
利益が多い分、税負担も増える
【所得税の速算表】
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円 から 1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円 から 3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円 から 6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円 から 8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円 から 17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円 から 39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円 以上 | 45% | 4,796,000円 |
このように、年間800万円の所得を超えるあたりから、法人化する事業も多く、800万円までは個人事業、800万円以上の所得なら、法人化する方が節税になると言えそうです。
法人とは?
また、私法人(民間法人)も「会社をはじめとする営利団体の組織」と「NPOをはじめとする非営利団体の組織」に分類されるのも特徴です。
法人のメリットとは?
個人事業主と比較し、法人か個人かを迷うなら、法人のメリットについてもきちんと学んでいきましょう。
経費として扱える幅が広い
以下にも詳しく記述いたしますが、個人事業より法人で扱える幅が広く、また柔軟に経費として利用できる項目も多いのがメリットと言えます。
所得税が法人税率を超えるなら法人化する方が節税になる
また、個人事業のままなら、大きな所得を得てもおよそ半分の税率がかかってしまうこともありますが、法人にすることで、少しでも節税できるのであれば切り替えた方がいいと思う人が多いのです。
社会的信用度が高い
さらに、同じような給与でも従業員を雇う場合、先の見えない個人事業より、安定した法人を選ぶ人も少なくありません。また、事業の拡大に必要な融資を金融機関から借り入れたい、取引先を増やしたい、などといった場合にも法人であれば信用度が高く、有利でしょう。
法人のデメリットとは?
法人化したときのメリットとデメリットをきちんと理解し、法人化を検討していきましょう。
開業時に税務署以外に地方自治体への届出が必要
場所と、出しておくべき届出を提出先別に紹介していきます。
【税務署】
・個人事業の開廃業届出書
・法人設立届出書
・給与支払事務所等の開設届出書
・法人税の青色申告の承認申請書
・棚卸資産の評価方法の届出書
・減価償却資産の償却方法の届出書
【労働基準監督署】
・就業規則届
・時間外労働・休日労働に関する協定届
・労働保険概算保険料申告書
・労働保険関係成立届
・雇用保険の事業所設置の届出
・雇用保険被保険者資格取得届
【年金事務所】
・新規適用届
・被保険者資格取得届
・健康保険被扶養者(異動)届
・国民年金3号被保険者資格取得届
ざっと、法人の届出だけでもこれだけあります。
それぞれの場所に出向き、書類を届け出るまでにもかなりの時間がかかります。
設立にかかる時間・お金がかさむ
さらに、設立にかかる費用は20~30万円程度かかることもあり、それに加えある程度の資本金も必要になってきます。
法人住民税は経費が赤字でも支払わなければならない
東京都でおおよそ7万円程度となり、支払いを命じられます。
個人事業主と法人の違いとは?
ここからは個人事業主と法人の違いについて学び、あなたの事業に適している選択肢として役立てていきましょう。
届出や廃業時の書類提出や費用などが違う
さらに廃業するときにも、法人は清算や登記などの手数料にお金がかかります。個人事業主なら、税務署に廃業の届出を提出するだけで簡単に廃業することができるのです。
経費処理の幅が違う
事業にかかる仕入れや旅費、消耗品など個人事業主も法人も変わりません。
従業員がいる場合、青色申告の承認を受けている個人事業主が配偶者や家族を雇う場合、事前に税務署に届け出なければなりません。しかし、法人であれば、たとえ家族を雇っていたとしても税務署などの届出は必要ないのです。
また、生命保険料も個人事業主なら上限12万円を所得として処理できますが、法人のケースでは法人で役員の生命保険を契約することができるので、生命保険料の支払い金額を経費として処理することができます。
また、自宅で事業を行っている場合、法人は社宅として一定の割合を経費処理することができます。しかし、個人事業主であれば住居費用を経費で処理することができません。
このように、個人事業主と法人では経費の処理の幅が大きく変わってきます。
社会保険の違い
法人の場合、「厚生年金」と「社会健康保険」に加入することになります。
また、厚生年金は国民保険料より高いと言われていますが、将来的に考えるともらえる年金も多くなります。
個人事業主と法人の違いを理解し、メリット・デメリットから節税対策を
それに比べ、法人は所得が低ければ不利となり、また高ければ有利となると言えるでしょう。あなたがどちらを選ぶのか、迷うときにはこれらのことをもとに、「個人事業主」か「法人」か選択することをおすすめします。
また、個人事業主からはじめて、所得が増えてきたら、法人化する人も少なくありません。
あなたに似合う選択で、節税対策を行っていきましょう。