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副業禁止でもYouTubeで稼ぐことができる? YouTuber活動の注意点などを解説

副業禁止でもYouTubeで稼ぐことができる? YouTuber活動の注意点などを解説

YouTubeに動画をアップし、再生中に表示される広告などで収入を得るYouTuberが話題になっています。最近の小学生の意識調査でも「なりたい職業」にYouTuberが1位になった、との報道もありました。YouTubeで億単位の収入を得て、各種メディアにもてはやされ有名人となることも多くなりました。

YouTubeに動画をアップし、再生中に表示される広告などで収入を得るYouTuberが話題になっています。最近の小学生の意識調査でも「なりたい職業」にYouTuberが1位になった、との報道もありました。YouTubeで億単位の収入を得て、各種メディアにもてはやされ有名人となることも多くなりました。

高価な機材を準備しなくても、スマートフォンさえあれば手軽にYouTuberを始められ、誰でも収入を得ることができるので、今後も人気は高まることでしょう。動画制作の趣味を活かしてYouTubeで楽しく収入が得られたらいい、と考える人も多いでしょう。

ところが、現状では就業規則で副業を禁止している会社が多くなっています。そんな状況で、副業でYouTuberとして活動することに問題はないのか、YouTuberとして活動する際の注意点などをわかりやすく解説していきます。

YouTuberは副業になるのか?

副業という言葉は法律用語ではなく、明確な規定のないのが現状であり、定義もあいまいなものです。
政府の促進もあり、副業が一般的になってきた現代においては、どこからどこまでが副業なのかその
境界線がはっきりしません。インターネット上に継続的に動画を投稿し、広告収入を得るのであるか
ら、本業を持ちながら他の業務で収入を得る副業となるでしょう。

副業に明確な定義はない

一般的に副業と呼ばれているものは、勤務する会社に所属しながら他の会社に勤務したり、受託業務などで収入を得ることをいいます。副業の明確な定義はなく、法律の条文にも規定はありません。会社の就業規則で副業についての規定が設けられているだけです。

インターネットの普及により、またコロナ禍によるリモートワーク・在宅ワークも増えてきました。収入の減少を補うために副業をスタートさせているのが実情です。本業がありながら、動画を投稿し、広告収入を得るのですから、YouTuberは立派な職業のひとつといえます。

副業禁止

副業禁止については、厚生労働省「モデル就業規則」に規定があります。会社が副業を禁止・制限できる例外を次のように定めています。

(副業・兼業)
第67条 労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。
2 労働者は、前項の業務に従事するにあたっては、事前に、会社に所定の届出を行うものとする。 3 第1項の業務に従事することにより、次の各号のいずれかに該当する場合には、会社は、これを禁止又は制限することができる。
① 労務提供上の支障がある場合
② 企業秘密が漏洩する場合
③ 会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合
④ 競業により、企業の利益を害する場合

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000118951.pdf

投稿する動画の内容が上記条文に抵触する場合、会社は社員に対して副業を禁止または制限することができます。勤務時間内に本業に専念するのはもちろんのこと、睡眠時間を大幅に削って行う副業などは禁止され、それに違反した場合は懲戒処分の対象となります。

会社側からすれば雇用契約に基づき給与を支払っている以上、勤務時間中は本業に専念し、勤務時間外でも社員としての誇りを持った行動を期待しています。また、睡眠時間などを含めた体調管理も適切に行われることを前提としています。

多くの判例は、従業員が勤務時間外に適度な休息をとることは、誠実な業務遂行に不可欠であることから副業禁止規定は有効であると判断していますが、副業を全面的に禁止する規定は一般的に無効であるとされています。

事前に会社側と動画の内容や投稿頻度などについて、本業に支障をきたさないよう十分な話し合いを行う必要があります。副業禁止規定は有効であることを前提に、業務に支障がないように副業を行うことを考え、人事担当者や上司と協議のうえ許可を得ることが重要です。

公務員はかなり難しい

では公務員の場合はどうなるでしょうか。ご存じの方も多いでしょうが、公務員は法律で兼業禁止が定められており、民間企業よりさらに狭き門となっています。公務員の場合、YouTubeで一定の収入を得るためには任命権者の許可が必要となるでしょう。公務員に対する信用を損なわないことや公務員としてふさわしくない性質を持たないことなどが許可の要件となっています。

そのため動画の内容や投稿の頻度などの報告を求められ、その結果内容や投稿回数が不適切と判断され、許可されないことが想定されます。公務員の仕事を離れた分野での優れた才能や技術などが発揮される動画の作成・投稿が必要となるでしょう。

なお、記憶に新しいところでは、和歌山市の消防士長が地方公務員法違反で減給1か月の懲戒処分を受けたとの報道がありました。副業として約1年間、「ゲーム実況動画」をYouTubeで投稿し、約115万円の広告収入を得ていました。再生回数は約230万回に上るとのことです。

Vlogger holds and smile with his camera

YouTuberとして活動する際の注意点

YouTubeに動画を投稿することはスマートフォンひとつで簡単にできますが、副業として一定の収入を得ることは簡単なことではありません。ある程度の収入を得ることのハードルは意外と高いのです。チャンネル登録数が1,000人以上、過去12か月以内の総再生回数が4,000時間以上の基準をクリアする必要があります。

本業に差し障りのないようにする

勤務時間外、休日に動画撮影、編集、投稿などを行いますが、本業の職務遂行に支障の出ないよう健康及びスケジュールの管理を行います。動画撮影に熱が入りすぎて睡眠不足をきたし、遅刻や欠勤が増えるなどは厳に慎みたいところです。たとえば、平日の夜は活動しない、週末だけの活動に限定するなど自分なりのルール作りが大切です。

企業秘密に関する動画を投稿しない

本業の会社の経営戦略、商品情報、営業ノウハウ、個人情報など企業秘密に関わる動画コンテンツを作成・投稿しないことです。取引先情報や開発情報、内部文書などの極秘情報も投稿して公開することは厳禁です。

もともとこれらの重要な機密情報を社外に持ち出すこと自体も大きな問題であり、懲戒処分の対象となります。また、会社の社会的信用・信頼を侵害するような行為を撮影した動画を投稿することも避けましょう。たとえば、飲食店のアルバイトが厨房などで店の利益に反するような行為を行い、動画を投稿した例が多く報道されました。

犯罪に関する動画を投稿しない

社会的倫理に反する内容や公序良俗に反する内容の動画を作成・投稿することは許されません。たとえば、暴行の現場、超過速度やあおり運転の自動車運転などの違法行為の動画投稿は社会人としてのルールからしても常識を逸脱した行為です。

会社にバレないような対策を講じる

自分の顔を動画コンテンツとして出す場合、会社にバレる確率が高くなります。副業禁止の場合、何らかの処分の対象となる可能性があります。また、住んでいる周囲の状況、部屋の間取りなどで人物や自宅が特定されてしまう可能性もあります。

YouTuberとしてヒット動画ができたりすると、ついつい人に話したくなるのが人情です。ですが、アカウント名などを同僚や友人には決して教えないことです。YouTubeはいつ、どこで、だれが見ているかわからないものと考え、会社にバレたら懲戒処分を含めた大きな影響があることを忘れないようにしましょう。

年間20万円以上の収入がある場合、確定申告が必要となりますが、その際の注意点としては、住民税の納付方式について、「自分で納付(普通徴収)」を選択し、会社に住民税の通知がされることを回避する必要があります。ただし、現在は年末調整の提出書類である「給与所得者の配偶者控除等申告書」に本人の給与所得以外の所得も記載する必要があるので、会社にバレる可能性が高くなりました。

動画を炎上させない

YouTubeで炎上騒ぎを起こして再生回数を稼ぎ、収入を得る「炎上商法」があります。YouTuberとして正統派であるかないかは議論の分かれるところですが、少なくともYouTubeで副業をしている人にとっては炎上はリスクでしかありえないと考えてください。

YouTubeやSNSなどに飲食店、コンビニ、駐車場などで迷惑行為をして炎上する事件があり、メディアのニュースやネットニュースなどで報道されることがありました。ネット社会の現代では迷惑行為を行った人物や場所・店などは特定されてしまうのが通常です。一人の社員の行動が会社のイメージを著しく悪化させることにもなりかねないのがネット社会の怖いところです。

信用失墜行為として会社に多大な損害を与えたという理由で懲戒解雇され、飲食店やコンビニからは損害賠償請求をされ、本人や家族までも誹謗中傷の対象になり社会的信用を失うことになります。安易な軽い考えで投稿した動画によりすべてを失ってしまうことを考えると結論は自明の理です。

稼ぎにくい媒体であることを認識する

ブログやサイトを活用したアフィリエイトや商品販売・転売などのその他のネットビジネスと比較して、YouTubeは圧倒的に稼ぎにくいという事実を認識しておきましょう。前述した基準にしても簡単にクリアできるものではないことは口コミなどでも発信されています。

要は努力量に対して、見合う利益を得るためには相応のアイディアや工夫が必要ですし、時間もかかります。参入ジャンルにしてもなんでもいいというわけではなく、吟味が必要です。会社員が副業を考える場合、YouTubeを活用するのであれば、こうした現実を理解したうえでスタートさせる必要があることを認識しておくべきです。

まとめ(副業禁止の有無を確認のうえ、好きな動画撮影の世界を広げ、稼げるYouTuberを目指そう)

副業を禁止する法律はなく、会社の就業規則で副業禁止を定めているにすぎません。ですが、副業禁止を定めていても全面的な副業禁止は認められませんので、会社に報告のうえ、本業の業務に支障のない範囲内でYouTuberの活動をして副業収入を得ることは法律的には問題がありません。

YouTubeは近年開かれたマーケットのため、法整備などが遅れているといわざるを得ません。しかし、インターネットが普及した現在ではYouTube市場はこれからも成長が見込まれています。
ただし、YouTubeでの副業は会社側からすると多くのリスクをはらんでおり、副業がバレた場合には処分はされないまでも社内の立場が悪くなったり、昇進や昇給などに影響が出る可能性はあります。そのため、事前に就業規則を確認したうえで、十分に会社側と副業についての取り組み方などを協議することをおすすめします。

動画撮影という好きなことの世界が深まり、交友関係も広がることのうえに、副業収入が得られるYouTuberをあなたも目指してみませんか。

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