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ヘッジファンドとは? 投資信託との違いやリスクについてわかりやすく解説!

ヘッジファンドとは? 投資信託との違いやリスクについてわかりやすく解説!

2020年のコロナショックでは大きな市場の下落が発生し、分散投資先としてヘッジファンド(リスクを回避するファンド)への注目が高まっています。出資者から集めた資金で運用するファンドという点では投資信託と同じですが、限られた機関投資家や富裕層しか出資できません。

2020年のコロナショックでは大きな市場の下落が発生し、分散投資先としてヘッジファンド(リスクを回避するファンド)への注目が高まっています。出資者から集めた資金で運用するファンドという点では投資信託と同じですが、限られた機関投資家や富裕層しか出資できません。

一般の投資信託は市場平均に対して良い成績を上げることに重点を置く相対収益を目指すものですが、市場の下げ局面においてもリターンを出すための投資方法がヘッジファンドです。ヘッジファンドは、プロの力で資産の損失リスクを避けつつ、平均で10%を超えるような高いリターンが期待できるファンドです。

ヘッジファンドの概要

ヘッジファンドは、事前に決められた制限や戦略の範囲内でファンド・マネージャーに運用を任せて、マーケット環境に関係なく利益を目指すファンドです。ヘッジファンドの「ヘッジ」とは、直訳すると「避ける」という意味です。

ヘッジファンドはあらゆる投資方法を試みて、どんな市場環境であっても利益を出すことを目的とした絶対収益追求型ファンドのことです。「絶対」とは比較対象がない状態(絶対)で収益獲得を目指すという意味合いです。

ファンドの種類

もともとファンドとは、多くの投資家から資金を集めて株式や債券、不動産などの投資対象に投資する手法です。集まった多くの資金でさまざまな資産に投資するので、個人で投資するよりも分散効果に優れています。ファンドには主に次のものがあります。

① インデックスファンド
日経平均株価などの指数に連動するように運用するファンド。指数に連動するので、運用状況が把握しやすく、運用コストが圧倒的に低いことが特徴です。年間の信託報酬は0.1%~0.6%程度に抑えられています。

② アクティブファンド
インデックスファンドの運用指標である日経平均株価よりも上回ることを目標としています。アクティブファンドのポイントは、ファンドマネージャーの選択です。運用の成果はマネージャーの実力によることがほとんどです。

③ ヘッジファンド
どんな局面においてもマイナスを出したくない投資家のニーズから生まれました。どんな局面でも利益を出すことを意味する「絶対収益」を基本理念としています。リーマンショック、コロナショックなどどんなに厳しい環境であっても専門的知識を駆使し、徹底的に利益を出すことに執着します。

ヘッジファンドのメリット

① 期待される収益が非常に高い
一般的に目標リターンは年間10%以上とされる場合が多くなっています。これは投資信託を大きく上回る期待値です。優秀なファンドであれば年間40%以上のリターンを継続しているものもあります。

② 市場に関係なく利益を追求できる
どんな市場環境でも目標リターンを達成しなければ評価はされません。ヘッジファンドは株式や債券だけでなく、先物取引や信用取引などあらゆる投資手法を組み合わせて利益を追求します。

③ ミドルリスク・ハイリターン
ヘッジファンドは大量の資金を運用し、独自の戦略を駆使するので、リスクヘッジが可能となります。行政の監視がなく運用ルールなどにとらわれずに柔軟な運用ができるので、リスクの軽減を実現できます。

④ 投資に手間がかからない
資産運用のプロに運用を任せることができます。ファンドマネージャーのスキルは投資信託よりかなり高くなっています。高度に専門化、複雑化しているのでヘッジファンドに精通した専門家による運用が欠かせません。

ヘッジファンドのデメリット

① すぐに解約できない
ファンド購入から解約可能になるまでに半年~1年の期間が想定されています。「ロックアップ」と呼ばれる解約ができない期間が設定されています。

ヘッジファンドは投資家の募集方法に強い制限があり、少数の投資家相手にまとまった資金を集め戦略的な運用を行います。経済情勢などで動揺し、投資家からの解約希望が殺到しては投資計画の見直しが続き、大きな投資成果が見込めなくなります。

② インターネットに情報を公開していない
ヘッジファンドはコストと膨大な時間をかけ投資戦略、銘柄選びを行っています。インターネットに情報が漏れれば戦略を察知されることとなり、利益獲得の機会を逃すことにつながります。このことが透明性を低くしています。

③ 手数料(成功報酬)が高い
運用残高の2%を管理(信託)報酬、20%を成功報酬としているのが一般的です。ヘッジファンドの手数料は運用益に対して発生するため、割高であってもリターンによっては多くの利益を得られることになります。

④ 最低投資額が高い
出資人数に制限をかけているため、一人当たりの出資額が多くなければ、ファンドの運用ができなくなってしまいます。現在でも最低数百万円以上とされていますが、最近では個人投資家へ門戸を開放する動きもあり、100万円から投資可能な個人投資家向けのヘッジファンドも登場しています。

⑤ 契約は直接のやり取りが必要
「私募型」という性質上、国内金融機関ではほとんど取扱いがありません。契約するためには直接問い合わせて説明を聞き、契約に至ることになります。海外の著名ヘッジファンドに投資する場合、英
語力が必要になります。通訳を依頼すれば高い手数料を支払うことになりリターンが低くなります。

投資信託との違い

投資信託は資金を預けるだけで投資のプロが投資家の代わりに運用してくれます。販売と運用は別会社で行い、販売はインターネットでも行われています。

ヘッジファンドの投資家は富裕層、機関投資家であり、投資信託が広く一般投資家から募るのとは大きな違いです。投資信託は保守的で無難な運用をしがちですが、ヘッジファンドは成功報酬制のため、好成績を上げると自分の報酬に直結する仕組みであり、積極的な利益を得るための運用を行います。

投資者の募集方法

投資信託は公募方式で投資者の募集を行います。証券会社や銀行を通じて不特定多数の投資者を対象とします。多数の投資者が存在するため、一人からまとまった資金を集める必要はなく、1万円前後の少額資金で購入が可能です。投資家数の多さから運用方法に制限があり、市場の値上がり局面でのみの利益獲得が目的となります。

一方、ヘッジファンドは私募方式で投資者の募集を行います。少数の投資家を相手にすることになります。投資効率を維持できる運用額を集めようとすると最低投資額は自然と高額になります。

投資者数に制限がある代わりに運用方法には高い自由度が認められており、上昇局面だけでなく下落局面でも利益獲得が可能になります。投資家受入人数が決まっているために、募集は富裕層内での紹介がメインとなります。

運用目標

投資信託は「相対収益」といい、競争相手(ベンチマーク)を上回る運用を目指しています。上昇局面の利ざやで利益を出す方法です。

ヘッジファンドは「絶対収益」で競争相手を設定せずに、上昇局面でも下落局面でも利益を出す運用を行います。独自の運用手法を駆使し、市場の下落局面でも常にプラスのリターンが目標となります。ヘッジファンドは手数料が高いこともあり、コロナショックなどの大幅な下落局面でも常に利益を出さなければ投資家の批判を浴びることになります。

手数料体系

投資信託は購入時、保有期間中の管理(信託報酬)、解約時のタイミングで手数料が発生します。運用成績にかかわらず、損失が出ても固定的に手数料が発生するので、割高感があります。

一方、ヘッジファンドの手数料体系は成功報酬がメインです。運用で得た利益の約20%が成功報酬として支払われるのが一般的です。利益が出ればファンド側も大きな儲けにつながるので、全力で利益を得るための戦略をとることになります。

ヘッジファンドのリスク

リスクを知らずに投資をすると取り返しのつかない事態に陥る可能性があります。そのため、リスクの確実な理解が必要となります。

5つのリスク

① リスクの高い運用をする可能性がある
行政による監視がないので自由、柔軟な運用をすることが可能です。高いリターンを目指してレバ
レッジをかけた取引、先物取引、空売りなどを行う場合があります。無理なレバレッジをかけ破綻したケースもあります。

なお、ここで言葉の意味を説明しておきます。
レバレッジ:自己資本を担保にして他人資本を借りて取引をすることで利益を高めること
先物取引:将来の特定日に特定の商品を現時点で取り決めた価格で売買することを約束する取引
空売り:投資商品を所有せず売却する契約を結び、後日買戻しを行う取引のこと

② 破綻する可能性がある
ヘッジファンドは破綻すると元本の全部または一部を失う危険性があります。投資スキルの低い初心

者が破綻する可能性の低いヘッジファンドを選ぶことは困難です。運用実績で判断できるほどスキルの高い人、もしくは投資のプロに相談し、判断を仰ぐ必要があります。

③ 詐欺の可能性もある
ヘッジファンドは運用が不透明であり、詐欺の道具として使われる可能性は十分にあります。しかも数百万円以上の資金を動かす投資になるので、不審な投資話には絶対に乗らないことが必要です。万が一、判断に迷ったら躊躇することなくプロの投資家に相談してください。

④ マネージャーリスク
ファンドマネージャーが確実に利益をもたらす能力があるかを見分けるのは容易なことではありません。運用手法に関しても詳細な開示を避ける傾向にあり、有名なマネージャーでも能力の高低を判断する材料が少なくなっています。

リスクの回避方法

ヘッジファンドは運用をプロの投資家に任せ、高い利回りを得られる優秀な金融商品ですが、リスクやデメリットを理解せずに投資すると、二度と立ち直れないような痛手を受けてしまう恐れがあります。リスクを回避する方法を踏まえたうえで、勇気をもって投資をすれば大きなリターンを得られる可能性があります。投資のプロに相談するのが最も確実で安全な方法です。

ヘッジファンドにはさまざまな戦略が開発されていますが、それぞれの戦略の特性をよく理解して、リスクの度合いを見ることが重要です。

ヘッジファンドのメリット・デメリットをよく理解し、新たな資産形成方法のひとつとして取り組んでみよう

リスクを最小限に抑えつつも高利回りが期待できるヘッジファンドですが、投資信託が最低100円から投資できるのに対し、ヘッジファンドは最低でも数百万円程度の資金が必要です。一般庶民にはハードルの高い投資ではありますが、資金に余裕のある方はぜひ検討してみたいものです。

ヘッジファンドは私募形式であるために、情報が公開されておらず、情報収集に多少苦労するかもしれません。インターネットでも徐々にヘッジファンドに関する情報が集められるようになりました。

ヘッジファンドの基本的な事項をよく理解したうえで、自分に適した新たな投資方法として選択してみませんか。

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