副業収入と納税の義務について

副業収入と納税の義務について

副業収入が一定の額を超えた場合、その収入に対しては、所得税や住民税が課税されます。しかし、あなたが副業をしていることは、あなた自身にしか分かりません。つまり、副業収入を加えた年間の収入を正しく申告し、その総収入に対して課税される税金を、正しく納める必要があるのです。 今回は、そんな副業収入と納税の義務について、年末調整や確定申告の仕組みを含め、わかりやすくご説明していきます。これから副業を始める人はもちろんのこと、すでに副業を始めている人は必見です!

日常...

フクちゃん「あー、最近肩が凝るわ~」

ギョウちゃん「え?もしかして副業のせい?」

フクちゃん「そうそう!大変だけど毎月3万円ぐらいは稼げるからさ~」

ギョウちゃん「すごいね!1年間で海外旅行行けちゃうね!」

フクちゃん「そうなの~!だから毎日少しずつ頑張ってる!」

ギョウちゃん「でもさ、稼いだ分税金が高くなるんじゃない?」

フクちゃん「え?税金?……たしかにそうだけど、誰に払うんだろ?(笑)」

ギョウちゃん「たしかに!職場にお願いするのかな?それとも自分で何かするのかな?」


副業収入が一定の額を超えた場合、その収入に対しては、所得税や住民税が課税されます。しかし、あなたが副業をしていることは、あなた自身にしか分かりません。つまり、副業収入を加えた年間の収入を正しく申告し、その総収入に対して課税される税金を、正しく納める必要があるのです。

今回は、そんな副業収入と納税の義務について、年末調整や確定申告の仕組みを含め、わかりやすくご説明していきます。これから副業を始める人はもちろんのこと、すでに副業を始めている人は必見です!

収入と納税の関係

via pixta.jp
正社員やアルバイト、日雇いの労働であっても、1月1日から12月31日までの1年間を通して一定の金額以上の収入があれば、納税義務が発生します。そして、支払う税金の種類は、国税である所得税(および復興特別所得税)と、地方税(お住まいの都道府県や区市町村が徴収)である住民税の2つに、大きく区別されます。

税金の納税は日本国憲法第30条に記載があるとおり「国民の義務」となっており、脱税については厳しくチェックされています。税金を滞納した場合には法律に則り行政処分が下されるだけではなく、延滞税や加算税はもちろんのこと、悪質な場合は刑事罰が科せられる可能性もあるのです。自分が得た収入が課税対象であるかどうかについてはもちろんのこと、納税が漏れなくされているかについても、しっかりチェックしておかなければいけません。

確定申告の代わりの年末調整とは

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正社員やアルバイトの場合、大半は就業先が年末調整をしてくれるため、自身で収入を申告する機会はほとんどありません。採用が決まった際の提出書類として、また、採用後は毎年年末頃に記載を依頼される書類として、右上に大きな「扶」という文字が書かれた扶養控除等申告書を渡された記憶がある方は多いのではないでしょうか?この扶養控除等申告書は、勤務先が年末調整をするために必要な情報を記載する書類だと考えていただければよいでしょう。

そして、就業先はこの申告書を元に年末調整をし、あなたが納めるべき所得税を計算してくれます。給与明細などで確認できると思いますが、通常は毎月の給与から源泉徴収という形で一定の金額が仮の税金として天引きされています。しかし、この税金はあくまでも仮の金額です。この源泉徴収で天引きされた金額と本来納めるべき所得税とを比べた上で、源泉徴収額が多すぎれば税金が還付され(戻ってくる)、少なすぎれば税金を追加で徴収する(支払う)という調整を、毎年末行っているのです。

この年末調整を就業先が行ってくれることにより、本来毎年の納税額を確定するために行うはずの確定申告については免除されていることになります。言い換えれば、一定以上の収入があれば、必ず年末調整か確定申告を行う必要があるのです。

勤務先が年末調整できない場合とその理由

ただし、この年末調整を勤務先で行うことができない場合があります。年末時点でどの勤務先にも勤めていない場合はもちろんのことですが、2つ以上の勤務先から給与をもらっている場合や、給与収入以外の収入がある場合が挙げられます。

例えば、親からの遺産相続があり賃貸不動産を所有していたとすれば、毎月借主から家賃があなたの銀行口座に振り込まれてくるでしょう。しかし、この収入は勤務先が知りえない収入です。また、副業収入で収入を得ている場合も同様です。

このように、勤務先からの給与収入とは別の収入がある場合には年末調整では足らず、一年間の総収入を申告すべく、自分自身で確定申告が必要となるのです。

副業収入で確定申告が必要となる場合

では、副業で収入を得ている場合には、全員が確定申告をする必要があるのでしょうか?実は、確定申告をしなければいけないケースは限られています。それは副業で得た収入が、1月1日から12月31日までの1年間で「20万円」を超えた場合です。

ただし、20万円といっても、副業収入で得た額面通りの収入を指しているわけではありません。収入から経費を引いた額が20万円を超えていなければ所得税を申告する必要がないため、年末調整だけで問題無いのです。

ここで、副業の経費として認められるものにはどのようなものがあるでしょうか?確認しておきましょう。

副業に対して認められる経費とは?

経費の定義は所得税法の第37条に記載されているものの、その文中にある「その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額」の範囲については明文化されておらず、過去の判例などを参照するしかありません。ただし、原則としては「その仕事をするために必要だったもの全て」です。

たとえば、パソコンを使った作業を副業で行ったとしましょう。
この場合、パソコン、マウス、キーボードは当然のことながら、調べものや依頼主とのファイルのやりとりに利用したインターネット回線費、携帯電話代、書籍などはもちろん、仕事場所としてのデスク、筆記用具、光熱費、家賃も経費に含めることができます。インタビュー調査のために喫茶店を使った、電車を使った、タクシーを使ったなど、その業務をするために必要だったのであれば全て経費です。

ただし、ここで大きな注意点があります。副業の場合、自宅で作業する方が大半かと思われますが、生活に必要なものと経費とが別できないものはどうなるでしょうか?先ほどの例でいえば、光熱費や家賃、携帯電話代などがそれに該当するでしょう。

ただし、曖昧なものは経費としてみとめられない

実は、必要経費の基本的なルールとして「曖昧なものは経費として認められない」という大前提があります。言い換えれば、「税務署にはっきり説明できないものはNG」と考えていただければよいでしょう。

たとえば、そもそもインターネット回線を引いておらず携帯電話だけで生活をしていた方が、副業のためにインターネット回線を引いたのならば、それは当然経費に該当するでしょう。しかし、元々賃貸マンションに住んでいたところに、副業を始めたからといって、後付けで家賃を経費にしようと思ってもそれは通らないということです(ちなみに家賃については、家賃の一部を経費計上できる場合もあり)。

確定申告が必要な方はもちろんのこと、副業収入が年間20万円を超えてしまいそうな方は特に、経費として算出できるものをあらかじめ見積もり、請求書や領収書などを保管しておくようにしましょう。

副業収入が20万円以内でも住民税は別の話

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さて、冒頭で触れたように、収入に対しては国税である所得税と、地方税である住民税の両方をそれぞれ納付する必要がありますが、年末調整や確定申告はあくまでも国税である所得税に関する申告であり、地方税である住民税に関する申告ではありません。つまり、本来は住民税については国ではなく、地方税納付先である市区町村に別途申告する必要があるはずなのです。

しかし、実際は申告の必要はありません。なぜなら、年末調整や確定申告を行った際に税務署より各区市町村へその情報が伝達され、伝達された情報を元に、翌年納めるべき住民税が自動的に算出されるからです。よって、住民税額を算出するためだけの申告は不要とされています。

では、所得税の申告が不要な副業収入が20万円以下だった場合で年末調整を会社にしてもらう場合、住民税の申告は不要なのでしょうか?答えはノーです。副業収入から経費を引いた金額が20万円以下だった場合に申告が不要とされるのはあくまでも国税である所得税に対しての申告についてであり、住民税についてはお住まいの市区町村に別途申告が必要なのです。
 
住民税の申告は、市役所、市税事務所の窓口などに住民税申告書を提出することで行いますが、住民税申告書については、お住まいの区市町村の公式ホームページでもダウンロードも可能です。副業収入があって確定申告をしない方は、ホームページをチェックし、忘れずに住民税の申告をしましょう。

確定申告の方法

副業収入が20万円を超える場合に原則行わなければならない確定申告については、毎年1月1日から12月31日までの1年間に得たすべての所得金額を、住まいの市区町村の税務署に申告することで行います。では、具体的にどのような進め方をするのか、簡単にご説明いたしましょう。

確定申告の主な手段

確定申告の手段については、確定申告書を税務署で手に入れて手書きをして必要書類を添付の上で郵送(もしくは持参)する方法か、インターネット上の国税庁の確定申告書等作成コーナーで手順に沿って求められる情報を入力し、出来上がったものを印刷した上で必要書類を添付して郵送する方法が一般的です。

確定申告書等作成コーナーでは、案内に沿って情報を入力していけば良いだけなので簡単な上、入力したデータは保存することができるため、翌年以降の入力が必要最低限で済みます。ただし、最終的には印刷をする必要があるため、プリンターが別途必要です。

なお、ICカード読み取り機能を有する端末があれば、インターネット上でそのまま申告することも可能ですが(e-Tax)、第三者が作成したような一部添付書類については別途郵送の必要があるため、全てがネット上で行えるというわけではありません。

また、これまではe-Tax利用のためのIDとパスワードを税務署で発行しなければならなかったため、利用開始までの手続きにひと手間かかりましたが、昨今ではマイナンバーカードの利用によって事前登録が不要となり、利用しやすくなっています。

確定申告の期限

確定申告は、原則、収入があった翌年の2月16日~3月15日(土日祝日などで前後する場合あり)に行うこととなっています(なお、2020年はコロナウィルスの関係で期限が1ヶ月延長されました)。

確定申告に必要な書類

確定申告に必要な書類は大きく分けて「確定申告書」「源泉徴収票」「添付書類」の3種類です。

まず、確定申告書は前述のとおり、税務署から手に入れるか、国税庁などのホームページ上から印刷をする、または国税庁の確定申告書等作成コーナーで入力したものをそのまま印刷することになります。

次に、源泉徴収票については本業の勤務先から発行してもらうことになります。源泉徴収票は、これまで勤務先で支払われた給与収入の総額と、そこから天引きされた源泉徴収額や社会保険料が記載されているため重要です。基本的には年末ごろ、遅くとも年明けの1月31日(勤務先が税務署に年末調整関係の書類を提出する期限)までには発行してもらえるはずです。

なお、副業収入の源泉徴収票については、副業収入を得た相手先が報酬に対してあらかじめ源泉徴収をしているか、していないかで対応が変わります。源泉徴収されている場合には、その金額を申告することで税金が還付される可能性もあるため、漏らさず行いましょう。

その他、ふるさと納税を行っている場合や、生命保険料や介護医療保険料、個人年金保険料を支払っている場合、住宅ローン控除を受けたい場合など、収入から差し引きできる控除の内容については、証明書を添付書類として提出することになります。必要書類を収集する時間も配慮し、申告期限ぎりぎりで慌てることが無いよう、早めの準備を心掛けましょう。

確定申告をしないとどうなる?

確定申告をしなかった場合には、期限を過ぎたことに対する無申告加算税に加え、期限が過ぎれば過ぎるほど高額になる延滞税がかかり、悪質な場合には重加算税が課税されたり、刑事罰を受ける可能性もあります。たとえ期限が過ぎてしまっても、税務署からの指摘ではなく、自主的に申告をした場合には無申告課税率が低くなる軽減措置もありますが、期限内に申告を終えるようにしましょう。

たとえ月数万円の収入であっても、バレなきゃ大丈夫という考えは非常に危険です。税務署は、個人の口座であっても銀行調査が可能であり、強い権限を有しています。副業の依頼主は支払った報酬を経費として計上しているはずですし、思わぬきっかけで過去の副業収入が税務署に知られてしまう可能性が十分にあるのです。

まとめ

副業収入に限ることではありませんが、報酬としての収入があれば、そのほとんどの場合で納税義務が発生すると考えるべきです。折角稼いだ副業収入を正しく申告することで、結果として所得税や住民税がこれまで以上に増えてしまう可能性が出てくれば、損をした気分になるかもしれません。

しかしながら、納税は国民の義務であり、罰則も厳しいものがあります。そして、税金によって国民年金や健康保険、介護施設、警察や学校、ゴミ収集など、我々の生活に欠かせない行政サービスが成り立っているという事実があります。我々だけではなく我々の親、そして子どもたちなどが、今後も安定した行政サービスを受けることができるよう、収入の申告と納税はきちんと正しく行いましょう。

執筆者:ファイナンシャルプランナー 小林弘卓

群馬県出身。教員免許を取得したのち、教育関係の仕事に従事も、現場にて母子家庭や貧困家庭を目の当たりにし、何か役に立つことはできないかとファイナンシャルプランナー2級およびAFP、宅地建物主任者の資格を取得。その後、様々なお悩み事を第3者の視点でアドバイスすることを目的とした「トータルアドバイズ」代表として活動。実用的なお金のやりくりだけではなく、九星気学鑑定士としての人生相談も好評を得ている。
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